ボディ&ヘルス 【2017.01.19】

成功したければ、まず体を意のままに操るべし

成功したければ、まず体を意のままに操るべし

身体を動かさなくなった人は、「動かせない状態を学習」してしまう仕組みがあることが、脳・神経科学の研究によって知られるようになりました。これを、「学習性不使用」といいます(そのまんまです)。



動かない状態を「学習」?


たとえば、脳出血や麻痺があると、身体が動かせなくなります。けれど、麻痺だから動かせないのではなく、動かせないという状態を脳が学習してしまった結果、動かなくなったとも考えられるのです。

実際、筋力はあるのに、立つことをすっかり忘れてしまったとしか言いようのない患者さんにであうことがあります。そしてまた、麻痺のある人にかぎらず、痛みに苦しんでいるひとにも学習性不使用は起こります。それはこういう理由です。


脳には、運動や感覚を担当している領域があります。




もし仮に、腰や肩や膝など、カラダの痛みがあまりにもつらくて、動かすのが怖くなって、痛みへの恐怖や不快感から身体を動かさなくなってしまうと、どうなるでしょう?


まず運動や感覚を担当している脳領域がだんだん小さくなってしまいます(やるべき仕事がなくて、神経細胞さんたちの居場所がなくなってしまうの)。

その結果、もともと持っていた「脳が痛みを抑制する仕組み」までもが機能不全を起こし、痛みが慢性化するという悪循環に突入します。


心の痛みと体の痛みは同じもの


それだけでなく、脳ではもっと驚く変化を起こしています。
身体を動かさなくなって久しい人は、ちょっと思い出してみてください。体を動かそうとしたときに、思うように動かないもどかしさを感じたことがありませんか?動かしているつもりなのに、実際にはそれほど動かせていない!という経験があるでしょう。

こうした運動意図と、感覚フィードバックが食い違うような経験が度重なると、意のままにならない自分の体に嫌悪感が生じます。
じつは、これが非常にマズイ!身体が感じる嫌悪感や痛み。これに関わる脳内の担当部署は、「社会から受ける心の痛みや嫌悪感」を扱う部署と同じなのです。体の痛みも、社会からの心理的痛みも、脳にとっては同じもの・・・だとしたら。


自分が感じている社会の不満や嫌悪感や社会からの疎外感は、じつはもしかしたら自分の体を丸ごと愛せていないことから始まっているのかもしれないのです。意のままにならない自分の体に嫌気がさすような、
くり返される失敗体験は、健全な身体イメージだけでなく、健全な社会イメージまでむしばみます。




自分を愛せない人が、人を愛せたりしない!?

「自分を愛せない人が、人を愛せたりしない。だから僕は君を愛せない」と言われて、大学時代、自分探しの放浪の旅にでかけようとする彼氏に振られたことを、思い出しました!な~にを言ってるんだこのひとは!?と思いつつ、なかなかカッコいいこというよね!と仕方なく、あの当時は寂しいお別れをしたものですが・・・。


自分の体に対する嫌悪感が、社会に対する嫌悪感となり、社会からの疎外感にも感じられ、孤独をますますつのらせる。こういった悪循環が脳の特性によって起こりうるのだとしたら

このループから脱け出す方法はつぎの2つ。

①意のままに身体を動かす気持ちよさを感じ味わうこと

②いつもがんばってくれている体に対するリスペクトや感謝を思いおこすこと



「これはまさしく私の体だ、ありがとう!」と実感できるまで


宝物を扱うように、自分の体と関わりましょう。冬のこの時期、冷えたエンジンのまま、いきなり車を運転しませんよね。アイドリングで温めてから、運転しますよね。体もおなじです。
思うように動かないのだとしたら、思うように動けることだけ、まずはやってみる。思う存分やってみる。


成功したければ、まず体を(1部分からでもいいので)意のままに操るべし。自分でコントロールできることをくりかえしながら、制御可能な挑戦をして、目標設定、実行、評価をくりかえし、たしかな成功体験をつみかさねていくことが大事です。


心がポカポカと満足して、「これはまさしく私の体だ、ありがとう!」と実感できるまで、愛する気持ちが湧いてくるまでやるのがいいですね。

福田 裕子
福田 裕子Yuko Fukuda
コラム「ボディ&ヘルス」担当

<理学療法士。働くひとの健康支援 Soleil スタジオ ユウ代表> 
京都大学医療技術短期大学部理学療法学科・放送大学教養学部発達と教育専攻卒。
24年間でのべ7万人以上の中高年の介護予防運動やリハビリを指導。
2007年 フリーランスとなり介護予防事業に従事。リハビリにも使われる運動療法を運動が苦手な人むけにシンプルにアレンジした運動学習ドリル10秒ポーズを考案。
2014年 企業むけ研修を本格的に開始。腰痛予防体操などを通じ「自分のからだは自分で守る」自己管理意識を高め、企業の健康風土づくりを支援。「痛みが楽になる、体が軽くなる、温かくなる、指導がわかりやすい」と定評がある。高齢者リハビリテーションの経験から、齢をとるとみじめだという意識を変え「この体で生きてきてよかった」と人生最後の時に感謝できるような社会づくりを目指している。

[公式ブログ] http://fukui-yukorin.com/
[ホームページ] http://studio-yu.com/

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