おいしい時間 【2016.07.19】

夏にピッタリ さわやか手作り飲み物~作ってビックリ!昭和のキューカンバーレモネード

夏にピッタリ さわやか手作り飲み物~作ってビックリ!昭和のキューカンバーレモネード

夏本番を迎えました。これからの季節、特に冷たい飲み物は欠かせないですよね。

スーパーやコンビニ、自動販売機などでいつでも冷たい飲み物が手に入る現代の私たちにとって、家庭でジュースを作ることはあまりないかもしれませんが、たまには手作りのおいしさを楽しんでみるのもいいと思います♪

そこで今回は、今の時期にぴったりの、手作りドリンクをご紹介します。


1949年8月号『少女世界』より、“夏によろこばれる冷めたいお菓子とお飲物”の中から、

“キューカンバーレモネード”をご紹介します。

  

キューカンバーレモネード

【材料(1人前)】

きゅうり1本 レモン半個 砂糖大さじ2 氷 水


①きゅうりは皮ごとすりおろし、布巾に包み、汁を搾り取っておく。

レモンは果汁をとっておく。砂糖を大さじ3杯の水で溶かしておく。

②レモン汁、きゅうり汁、砂糖汁を混ぜ入れ、砕氷を加える。


鮮やかな緑のこのジュース。ネーミングの通りですが、レモネードにきゅうりを混ぜたもの。

レモンとシロップが入るので、きゅうりの風味は気にならないのかなと思いきや・・・

きゅうりの青臭さが際立った仕上がりとなってしまいました。

きゅうりは身体を冷やす効果があるので、暑い夏にはぴったり!といえど、きゅうりは加えずに、別に食べた方が美味しいですね。

味はともかく?手軽に作れるこの飲み物ですが、当時砂糖はまだまだ貴重品。

翌年の昭和25年当時、大卒銀行員の初任給が3000円だった時代に、何と1斤(600g)あたり173円もしました。

現代の価格に換算すると、10000円以上という計算になります。

このレシピでは、砂糖を一人当たり大さじ2杯使用しているので、今の感覚だと約330円ほど。

手軽にゴクゴク飲むのは少し勿体無いという感じです。

しかし、じっくり味わって飲むときゅうりの風味が際立ってしまう…!!ということで、きゅうりの入らない、普通のレモネードをご紹介します。


『ジュニアそれいゆ』1958年7月“夏の飲物”より、レモネード
 

    レモネード

【材料(1人前)】

レモン半個 砂糖大さじ山1杯 水 氷片


①レモンは薄い輪切りを一切れとり、あとは表皮をおろし金ですりおろし、汁をしぼっておろした皮を入れ、ガーゼで漉す。

②冷えた砂糖水と混ぜ、氷を入れ、水を8分目まで注ぎ、レモンの輪切りを添える。

夏にぴったりの爽やかなレモネードです。

上記のキュウカンバーレモネードから約10年経ち、砂糖は気軽に使えるようになりました。

しかし、当時まだ輸入自由化となっていなかったレモンは大変高価で、この頃、大卒の初任給が1万円に満たない時代に1個200円もしたそうです。

国産のため、ポストハーベスト農薬(収穫後の農産物に使用する殺菌剤、防かび剤など)の心配はありませんでしたが、これだけ高価であれば、なかなか手軽に作ることは難しかったでしょう。

このレシピは表皮をすりおろして使うので、できるだけ無農薬のレモンを使ってください。


ところで皆さまはジュースというと何のジュースを連想されますか?

私は、ジュースといったらオレンジジュースを連想しますが、りんご、グレープフルーツ、ぶどう等、100%果汁のジュースは現在どこでも手軽に買えるもののひとつですよね。

しかし当時は、ジュースといえば水に溶いて飲む粉ジュースや、サイダーなどが大半で、果汁100%のものはあまり市販されていませんでした。

そうなると、果汁100%のジュースを飲みたければ手作りすることになります。

当時のレシピをみると、果物を使ったジュースも多数紹介されています。その中から、桃を丸ごと1個使う、"ピーチエード"を作ってみました。(同じく『ジュニアそれいゆ』1958年7月号より)



  

ピーチエード

【材料(1人前)】

桃1個 砂糖大さじ山1杯 水 塩少々 レモン汁少々食紅 氷片


①水140mlに砂糖、塩を加えて煮立て、冷やしておく。

②桃は皮をむいて賽の目に切り、1時間ほど①につけこむ。

③布で漉し、食紅とレモン汁を加え、氷片を加える。

 桃の香りがひろがる、とってもおいしいジュースです。

シロップに浸しておいたので、甘さが少ない桃でもおいしくいただけます。

また、熟れすぎてしまったものを使ってもいいですね。

食紅を加えるときは、ごく少量を水溶きしてください。



『ジュニアそれいゆ』1959年7月号“愉しい夏の飲み物”より、

ブーケ、すいれん、コクリコの花…何ともロマンティックなネーミングのレシピが揃っていますが、その中で、“朝の歌(レモンスカッシュ)”、“サマーローズ(苺シロップ)”、“オンディヌ(メロンジュース)”を作ってみました。

 

朝の歌(レモンスカッシュ)

【材料(1人前)】

レモン半個 シロップ大さじ3 炭酸水1カップ サクランボ


①レモンをよく搾り、そのジュースに炭酸水、シロップを加えてコップに注ぎ、サクランボを沈める

 
炭酸水を加え、先ほどのレモネードとはまた違ったおいしさのレモンスカッシュ。

サクランボの赤い色がアクセントの、“朝の歌”という名前にふさわしい爽やかな一杯です。

    

サマーローズ(苺シロップ)

【材料(1人前)】

いちご(生or冷凍)5粒 砂糖大さじ2杯


①いちごはヘタをとり、カップ1杯の水を煮立たせた中で3分ほどゆでる

②色が脱色されて白くなったらふきんでこし、砂糖を加えて冷たくして出来上がり

 

いちごのかわいい色がきれいな飲み物。
“サマーローズ”という名前がぴったりですね。
私は冷凍のいちごを使いましたが、当時はただでさえ高級品。ましてや夏にいちごジュースを作れた人はどのくらいだったのでしょう。

 

  

オンディヌ(メロンジュース)

【材料(1人前)】

メロン(皮をむき、薄く切ったもの)100g シロップ大さじ3杯 白ぶどう酒大さじ1


①メロンは清潔なガーゼを2枚重ねてしぼる。

②しぼり汁とシロップをコップに入れ、いっぱいになるまで冷水を注ぎ、あれば白ぶどう酒を加える。


“オンディヌ”とは「水の精霊」。

“青い妖精が住んでいそうな湖の色” とあるように、美しい色のジュースです。

メロンのジュースだなんて、現代でもかなりの贅沢品ですよね。

さきほどのいちごジュースもそうですが、当時これを実際に作った人はどのくらいいたのでしょうか?

 

今回は、昭和20年代~30年代前半のレシピをもとに再現してみましたが、夢いっぱいのレシピに思わず楽しくなりました。

考えてみると、冷蔵庫の普及率もまだまだ低かった時代です。そうなると、当然氷も作れないでしょう。

それに既述のように、材料を揃えるだけでも大変なものも多くありました。

現代の便利さに慣れた私が想像する以上に、レシピ通り作ることは難しかったのかもしれません。


しかし、現代でもそうであるように、誰でも知っていて、簡単に作れるレシピばかりを雑誌に載せることはあまりないと思います。

どんな味だろうという想像力をかきたてられるからこそ読者も楽しいのではないでしょうか。

レシピ通りとはいかなくとも、自分なりに工夫したオリジナルの味は唯一無二のものになります。

『ジュニアそれいゆ』1959年7月号にも、飲物をつくるコツとして、共感することが書かれてありました。それは、“ちょっとした思いつきがより楽しいふんいきをつくってくれることを忘れずに”ということ。

食事やお菓子作りでも同様のことがいえますが、材料を正確に測らないと失敗することがあるそれらとは異なり、飲物はより手軽に、思いのまま作ることができます。


私は、上記で作った苺シロップとメロンジュースで、クリームソーダを作ってみました。



それぞれのシロップと、サイダーと1対1で混ぜ、アイスクリームを浮かべます。
市販のシロップを使えば手軽にできますが、果物の自然な色と味わいは手作りならでは。

 


苺シロップとメロンジュースでもう一品。

製氷機でそれぞれのシロップを凍らせ、そこにサイダーを注ぎました。

溶けても薄まらず、見た目にも涼しげです。


おいしくて冷たい飲み物をおともに、夏も楽しく過ごしましょう(*^-^*)♪♪


【参考文献等】

少女世界(1949年8月号) 少女世界社 

ジュニアそれいゆ(1958年7月号・1959年7月号) ひまわり社  

物価の文化史事典  甲賀忠一十制作部委員会 株式会社展望社 2008年

ポッカレモンの歴史 http://www.pokkasapporo-fb.jp/lemon/pokkalemon/

 

福田 裕子
和田 祐生子Yuuko Wada
コラム「おいしい時間」担当

<食文化研究家>
1988年、福井県生まれ。実践女子大学食生活科学科卒。
幼い頃から食への関心が高く、食品添加物など、食の安全性について学ぶ。
同時に、日本の世俗についても興味を持つ。大正~平成の婦人雑誌・および食専門雑誌を読む中、当時の決して豊かではない状況で精一杯の工夫がなされている食生活に感銘を受け、当時のレシピを再現するようになる。
現代の食生活が抱える問題を改善し、それを次世代に継承していくことの必要性を感じている。
食文化研究家として福井の情報誌に掲載。イカロス出版『まいにちお弁当日和』において
“昭和のお辨當”という記事を執筆した経歴を持つ。


[公式ブログ] http://syowabento.blog.fc2.com/

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