おいしい時間 【2017.02.07】

今さら聞けない発酵食品 甘酒(あまざけ)のお話

今さら聞けない発酵食品 甘酒(あまざけ)のお話

味噌、醤油、酢、みりん、納豆など、日本の食卓を支えてきた発酵食。

その土地に棲む微生物の働きによって生み出され、身体を整える作用をもたらす発酵食は、先人が生み出した知恵であり、次世代につなげていきたい存在。

今回は、最近テレビや雑誌などでも取り上げられることの多い「甘酒」のおはなしです。



■酒粕から?麹から? 2種類の甘酒


甘酒には酒粕からつくるものと米麴からつくるものの2種類があります。

どちらの甘酒も美味しいのですが、大きく異なるところは材料の違いとアルコール成分の有無。

分かりやすく比較してみると以下のようになります。

 

☆酒粕からつくる甘酒

酒粕は日本酒のもろみを圧搾した後でできる、ろ過残存物です。なので
アルコール成分がある
・砂糖で甘みをつける
・カロリーが高くなりやすい
・安く短時間で作れる


☆米麹でつくる甘酒

潰したお米に麹菌を加えて発酵させて作ります。
アルコール成分がない
・米と米麹のみの自然の甘さ
・カロリーが低い
・多少割高、つくるのに8時間ほどかかる


個人の味の好みもあるかと思いますが、小さな子供が飲む場合や運転の必要がある場合には、アルコールが入ってない米麹のほうが安心だと言えますし、米麹の甘酒の方が飲みやすいと思います。



■「飲む点滴」 米麹の甘酒


2種類の甘酒の違いを説明しましたが、古来より「飲む点滴」と呼ばれてきた甘酒は米に米麹を打って発酵させたもの。甘糀や麹甘酒とも呼ばれています。

「甘酒」は俳句の夏の季語でもあり、江戸時代から夏場の栄養ドリンクとして飲まれていたのも、米麹からできた甘酒の方です。

調べてみたところ「飲む点滴」と言われているのは、点滴に成分が近いからということですが、そもそも点滴が「甘酒」の成分を参考にして作られたという記述もあります。



■甘酒の素晴らしい栄養成分と効能


それでは、甘酒の栄養と効能について詳しく見てみましょう(非加熱の場合)


甘酒の栄養成分①:麹菌の酵素

麹菌は、人間に必要な酵素100種類以上もっています。


麹菌しか持っていない酵素には

• アミラーゼ:デンプンをブドウ糖に分解する
• プロテアーゼ:タンパク質をアミノ酸に分解する

などがあります。


その他、麹菌の持っている代表的な酵素はこちら。

• リパーゼ:脂肪を脂肪酸に分解する
• セルラーゼ:植物の繊維をオリゴ糖に分解

活きた酵素がお腹に届くことで食べものの消化・吸収の援けにもなるのです。


甘酒の栄養成分②:ビタミン類(補酵素)

甘酒には、酵素の働きを助ける補酵素が豊富に含まれています。


ビタミン類もそのひとつで、

• 新陳代謝の活性化
• 老化防止
• 精神安定
• 免疫力アップ
といった効能があります。


ちなみにビタミンB群の効能としては、

• ビタミンB1:疲労回復、ストレス緩和
• ビタミンB12:貧血予防、不眠症予防
• ビタミンB6:健康な肌や髪をつくる。つわりや月経症状の緩和に効果がある
などがあります。


そしてなんと!これら甘酒に含まれるビタミンB群は、カラダへの吸収率が90%以上なんです!
素晴らしいですね。


甘酒の栄養成分③:必須アミノ酸 全9種類

甘酒には、必須アミノ酸9種(トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン)がすべて含まれています。

必須アミノ酸は、筋肉や血管・脳などの細胞を作る上で必要不可欠で、老化を防ぐ働きもあります。

「必須アミノ酸は人間の体内では作れない」ので外から取り入れることが必要なのですが、カラダに必要なこれらのアミノ酸が、甘酒からすべて摂取できるというのは嬉しい限りですね。


甘酒の栄養成分④:コウジ酸+α

麹からしか生成されないコウジ酸は、メラニンの生成を抑制し美白効果があります。女性にとっては嬉しい栄養成分ですね。

コウジ酸の他には

• リンゴ酸
• アスペルギリン酸
• ゲオダイン
• アルブミンフェルラ酸
• オリザシスタチン
• オリゴ糖
• 食物繊維(不水溶性・水溶性)

などがあります。

特に、オリゴ糖と食物繊維(不水溶性・水溶性)は、甘酒にバランスよく含まれています。


摂取するなら手づくりのものがよりおすすめ

ちなみに、市販されている甘酒は、発酵を止めて品質を安定させる必要があるため火入れ処理がされています。

手作りする生の甘酒は栄養素が生きていますし、それになんといってもおいしい!

栄養素をより効果的に取り入れるには手づくりのものをおすすめします!



■発酵を待つ時間も楽しみ。日々の生活に取り入れたい甘酒


気軽に楽しむのであればそのまま飲むのもおすすめですし、フルーツ、豆乳、甘酒をミキサーにかければ簡単なドリンクもできます
好きな果物を使えば、その日ごとに味のバリエーションも。


また、砂糖やみりんの代わりに使うことで、調味料としても役立ちます。
肉や魚を甘酒に漬け込むことで、うまみを増す効果も。

甘酒はくどくない甘さでうま味も豊富なので、すき焼きや煮魚、洋風煮込みの隠し味に使えたりもします。

自由度が高く、料理のバリエーションも広がります。

麹の力と先人の知恵が込められた日本伝統の発酵食品。
発酵する過程も楽しみの一つ。ぜひ一度、手作りの甘酒で麹生活始めてみませんか?

福田 裕子
久保田 桐子Kiriko Kubota
コラム「おいしい時間」担当

<ふくい地産地消コーディネーター/野菜ソムリエ>
福井県立大学 経済学部卒業後、一般企業に就職するが、「食の大切さを伝えたい」との思いから退職。伝統郷土料理や地元生産者とのやり取りを学ぶ。
その後、カフェのキッチンシェフとして、開店立ち上げから飲食メニュー全般を手がける。地元食材を使っての商品開発や、ホテル、レストラン、飲食店へ福井の食材を使ったレシピを提案。『禅野菜そうす』や『海幸山幸せんべい』などを手がける。
2012年、創業100年になる鯖江の久保田酒店4代目と結婚。老舗酒店の若女将となる。
現在は野菜ソムリエ、フードコーディネータとして、執筆や講演も多数。

[公式ブログ] http://ameblo.jp/kiripaulownia/

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