おいしい時間 【2017.05.01】

夏も近づく八十八夜

夏も近づく八十八夜

新緑がまぶしい季節になりました。
みなさまゴールデンウイークはいかがお過ごしでしょうか。
 
さて、本日2017年5月2日は「八十八夜」です。

 ♪~
  夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る
  あれに見えるは 茶摘みじゃないか
  茜襷(あかねだすき)に 菅の笠(すげのかさ)
                       ~♪

と、唱歌「茶摘み」にも歌われる通り、まさに「野にも山にも若葉が茂る」季節ですね。

今回はこの「八十八夜」に因んだおはなしです。


八十八夜とは?



立春(今年は2月4日でした)から数えて八十八日目にあたる日のことで、「土用」などと同じく古くから日本人が暮らしの目安にしてきた雑節のひとつです。
先に出た歌の「「あれに見えるは茶摘じゃないか~♪」
の歌詞から、「茶摘みの盛んな時期」のイメージが強い方も多いでしょうね。

この時期はお茶の芽の発芽期に当たり、やわらかい良質の茶葉を摘むことができるため茶摘みが盛んになります。
(実際は産地の温暖差によって茶摘みの時期は少しずつ異なりますが)
特に八十八夜の日に摘んだお茶を飲むと一年間無病息災で過ごせるといわれ、大変珍重されてきました。

一方で"八十八"という字を組み合わせると「米」という字になることから、農業に従事する人にとっては五穀豊穣を願う特別重要な日とされ、今でも、農耕開始の到来を祝って神事が行われるところがあるようです。
福井でもこの頃の前後から田の苗代(なわしろ)づくり、畑の作物の種まきなどの農作業をするところが多いですね。


季節点としての八十八夜


「八十八夜の別れ霜」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは八十八夜を境にして霜が降りなくなり気候も安定してくる、ということを表しています。

この時期の霜は「遅霜」と呼ばれ、農家にとってはすごく恐ろしいものでした。
育ち始めた作物の若い芽、若い葉に霜が降りて農作物に大きな被害を受けてしまえばその後の1年の収穫が台無しになってしまうからです。

つまり八十八夜とは、気候の安定を示す一方「この日を迎えるまでは霜への注意を怠るな」という一種の警告、もしくは見方を変えると、八十八夜を過ぎれば、そろそろ霜の心配をしなくてもよい時期だよと言う目安だったのです。


なぜ「八十八夜」なのか?


それにしても・・・
「ようやく霜の心配がなくなる頃」の目安であれば、「八十八」ではなく、区切りの良い「九十」でも良いのでは?とも思うのですが。
少し不思議な気がして調べてみました。


・「八十八」=米 →農耕の大切な区切りを表す


・「八」という漢字は末広がりで縁起がよいと言われ、それが二つ重なった八十八はさらに縁起がいいので八十八にした・・・という説

私がもっとも興味が引かれたのはこちら

・昔の暦(こよみ)は現在のようなグレゴリオ暦(太陽暦の一種)ではなく、月の満ち欠けの周期を1ヶ月とする暦、太陰暦を使っていました。
月の満ち欠けは29.5日周期で、それが3回繰り返されると、29.5×3=88.5日!となります。

多分、昔の人は立春の日の月の形を覚えておき、それと同じ形になるのを3度待つと八十八日目が来たのです。

そして霜が降りるのは夜半から朝方にかけてなので、「ようやく霜の心配がなさそうだぞ、でも油断はするなよ」の意味で「八十八」日の「夜」なのだという話。

きっと村の長老のような人が月を見て「うむ。今日が八十八夜じゃ。明日、茶摘(もしくは農事)を開始するぞ」と決断し、村の人たちみんなでお祭りもしくは祈願を行ってきたのでしょうね。



(うっすらですが、2017年5月2日のお月様。ことしは7日月です。)


八十八夜と行事食


八十八夜には他の雑節と違い、とくに決まった行事食というものはないようですが
しいて言えば「日本茶」でしょうか。

そもそも行事食(ぎょうじしょく)とは、季節の節目や年中行事に合わせて食べる食事のことで、正月のおせち料理なんかもそのひとつ。

昔から伝わっているもの、神事に関わるものや、旬のものなどそれぞれの行事食によってその由来はさまざまですが、この時期八十八夜に摘まれた新茶は、栄養価が高く「寿命が延びる」とされ珍重されて来たことを考えると、行事食と言えるかもしれません。

実際、この時期に摘んだ新茶は、冬の間に栄養をたっぷり蓄えたものであり、お茶の旨味成分であるテアニンも豊富であるということです。

現在は、八十八夜に摘んだお茶をその日に頂くのは難しいかもしれませんが、農業と密接な関係があるということを思い返す意味でも、縁起物として日本茶を頂いてみるのもいいですね。


いつもはペットボトルのお茶、コーヒー派の人も、この時期は急須で丁寧にお茶を煎れてみると、今まで感じなかった日本茶の魅力に出会えるかもしれませんよ。


八十八夜が過ぎると三日後の5月5日は「立夏」
暦の上では夏の始まりです!
キラキラと躍動感のある季節を楽しんでいきたいですね。

福田 裕子
久保田 桐子Kiriko Kubota
コラム「おいしい時間」担当

<ふくい地産地消コーディネーター/野菜ソムリエ>
福井県立大学 経済学部卒業後、一般企業に就職するが、「食の大切さを伝えたい」との思いから退職。伝統郷土料理や地元生産者とのやり取りを学ぶ。
その後、カフェのキッチンシェフとして、開店立ち上げから飲食メニュー全般を手がける。地元食材を使っての商品開発や、ホテル、レストラン、飲食店へ福井の食材を使ったレシピを提案。『禅野菜そうす』や『海幸山幸せんべい』などを手がける。
2012年、創業100年になる鯖江の久保田酒店4代目と結婚。老舗酒店の若女将となる。
現在は野菜ソムリエ、フードコーディネータとして、執筆や講演も多数。

[公式ブログ] http://ameblo.jp/kiripaulownia/

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