GOKAN -五感- 【2015.05.02】

薬膳の話し、してみましょうか。~春編~

薬膳の話し、してみましょうか。~春編~

料理と美容、医療の仕事をする延長線で薬膳を学んだことをきっかけに今では薬膳のインストラクターをしています。
学んでもなお もっと知りたいと感じる世界です。
先月も 私と同じように金沢で薬膳を教えている薬剤師さんのもとを訪ねたり、薬どころの富山へ行って見識を深めてきました。


薬膳を知るうえで最も基礎となるのが「陰陽五行理論」です。
陰陽の理論は、万物は全て陰と陽に分かれていて、正反対の性質を持っていますが 反発し合うのではなく 互いに影響し合い、一方の勢いが強くなり過ぎないようにバランスを取り合って存在するという考え方です。
シンプルながら奥深いこの理論は、西洋医学の歴史にも存在し、東洋医学や多くの食事療法、伝統医学の基礎となりました。



陰陽を更に詳しく、自然の法則に則って五つに分類して解釈をしていく方法を「五行」といいます。人体、自然界のすべての事物が、木・火・土・金・水の五つの要素の働きと変化によって成り立っているという考え方です。
例えば色は青・赤・黄・白・黒に分けることができ「五色」、
季節の場合は春・夏・秋・冬に季節の変わり目である土用を加え「五季」。
人の体も然り、腎・肝・心・脾・魄の五種類に分けて、それぞれ木は肝、火は心、土は脾、金は肺、水は腎と当てはめて「五臓」といいます。ただし「五臓」は西洋医学でいう腎臓、肝臓、心臓等よりも広義です。
「五臓六腑に染み渡る」という言葉は これら五行理論に由来します。
五臓をうまく表現した言葉を さらにもう一つ。
「怒り過ぐれば肝を傷り、喜び過ぐれば心を傷り、思い過ぐれば脾を傷り、悲しみ過ぐれば肺を傷り、驚き過ぐれば腎を傷る。」。これもまた心と体の兼ね合いを上手く言い当てています。
他にも味や精神状態、声色に至るまで あらゆるものが五行に分類されています。
五行の「行」という字は、巡るとか循環するという意味があり、つまりこれら5つの要素が循環することによって万物が生成され自然界が構成され、これらが相正(そうじょう:相互に生む、促進、成長するという意味)・相剋(そうこく:相互に抑制するという意味)など 複雑に絡み合った関係性を持ちます。
中医学では、人間は自然の一部と考えます。
ですから、こうした季節や体質、食物の働き、気候風土に合わせて体を捉え、最も適した食材を最も適した食べ方で組み合わせて、ありがたく頂くというのが薬膳なのです。



春を迎えた この季節、春分の日を境に 自然界も心も体も陰から陽へ移行します。
その切り替えに 心や体がうまくついていけなかったり過剰に反応してしまうと、肩凝り、花粉症、のぼせや浮腫、鼻や喉の不調、目眩、ふらつき、浅眠など、春に起こりやすい不調が現れるとされています。
この状態を陰陽五行理論で解釈してみましょう。
冬の間、体温やエネルギーをむやみに消耗しないよう体は活動を抑え、栄養を蓄えようと働きます。そのために、冬は余分な脂質や老廃物を溜め込みやすい陰の時期。そこから春になり陽気が盛んになるにつれて、私たちの体内でも新陳代謝が活発になり 冬に溜め込んでいた脂肪や老廃物を排出しようとし、エネルギーの消費量も増加します。冬の間に貯えたものを使い始める季節ということから、春は解毒の季節ともいえます。
このときに働くのが、血液の貯蔵、消化吸収機能の補助、情緒の安定、自律神経系の機能調節、筋肉の運動神経など重要な作用を担う器官「肝」です。春はどうしてもこの肝がオーバーワークになりがち。
そこで薬膳においては、解毒作用に優れ、肝の働きを補助してくれる食材を取り入れてメニューを組みます。



代表的な食材として、たらの芽、ふきやフキノトウ、せり、筍、うど、菜の花、木の芽など苦味をもった山菜や、オレンジ、はっさく、レモン、酢など酸味の食材です。昔ながらの調理法でもある山菜の酢味噌和えはとても理にかなったメニューだといえます。
薬膳は特別なもののように感じますが、実は私たちに馴染み深い 昔ながらの和食にはその要素が大いに含まれています。

不思議なもので、自然界はその季節に体が必要とする食材をあらかじめ大地に用意してくれて、季節に伴う不調を回避できるよう優しく手を差し延べてくれているのです。


他にも春におすすめ食材は、豚肉、イカ、赤貝、レバー、ほたて貝、あさり、ハマグリ、卵、にんじん、春キャベツ、ほうれん草、アスパラガス、セロリ、三つ葉、白菜、キュウリ、トマト、ごぼう、じゃがいも、山芋、そら豆、落花生、黒きくらげ、白きくらげ、黒ゴマ、白ゴマ、りんご、いちご、ぶどう(干しブドウ)、ライチ、小松菜、松の実、ヒマワリの種、クコの実、蕎麦、あわ、牛乳、チーズ、豆乳、豆腐、菊花、茶葉、薄荷、葛(くず粉)、はちみつ、しょうが、しそ、ねぎ、香菜、パセリ、茗荷、ニラ、小麦、大麦、米、あわ、とうもろこし などなど。



満遍なく、満遍なく、食しましょう。



我が家ではちょっと変わった食べ方として、自家製豆乳ヨーグルトの中に酒粕をいれて育て、そこに春のおすすめ食材でもあるはちみつ漬けのセロリとレーズン、オレンジーピールを入れて食しています。豆乳ヨーグルトは体に良いとはわかっていてもなかなか美味しいと思えずにいましたが、酒粕や季節の食材をはちみつ漬けしたものを混ぜると格段に食べやすくなるということを教えてもらってからは楽しんで食べています。



お味噌汁にも ときおり酒粕を入れています。
酒粕は住んでいる地域にある酒蔵さんのもの。
~酒粕の効果はこちらを参照くださいね~




そして玄米も好きで食していますが、面白いことに炊き方によって陰と陽が変わってくるといわれています。
土鍋で炊く場合は、水分を多くしてゆっくり炊きあげることから しっとりふんわりとした仕上がりになり、陰の性質を帯びるため、ほてりを沈静したいときやリラックスさせてくれますし、圧力鍋で炊く場合は、水分は少なめでしっかりした歯ごたえと圧によりきゅっと締まった陽性の性質を帯びるため、体を温めシャキッと動きたいときに向いています。

食材やそれらの組み合わせ、調理法に至るまで、薬膳は一口には語りきれないほどおもしろい食養生です。
季節ごとに、また少しずつお話していけたらと思います。

道廣 喜子Kiko Michihiro
「GOKAN」担当

<Salon LAKSHMI(サロン ラクシュミー)代表/料理家・美容家>
公的機関の医療者として精神科とNST分野に携わりながら、インファント(乳幼児)マッサージや世界各国の美容技術、アロマテラピー、美容食学、薬膳インストラクターといった美容と食にまつわる国際ライセンスを多数取得。
様々な知識を軸にサロン・スクールを立ち上げ独立する。
『生まれてから死を迎えるまで、医・美・食の調和がとれたサービスと知識の提供』をコンセプトに 広い世代に向けた香育・食育・触育の講演活動、専門学校にて解剖生理学・栄養学講師をつとめる。飲食店やイベントにおけるフードスタイリングやディレクション、空間デザインをてがけるほか、メディアにてレシピ提供やコラムの執筆もおこなう。
不定期開催されるワークショップは即時満席となる人気の企画となっている

[公式ブログ] http://ameblo.jp/lakshmi-aroma/?frm_id=v.jpameblo
[ホームページ] https://www.facebook.com/pages/Salon-Lakshmi/544086015710084?__mref=message_bubble

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