GOKAN -五感- 【2015.07.04】

日本茶を味わう

日本茶を味わう

♪夏も近づく八十八夜〜♪


八十八夜は二十四節気のひとつ、立春から数えて八十八日目にあたる5月2日頃のことをさします。
この遅霜がおりる時期に摘まれた新茶が最も美味しいとされ、冬のあいだ成長を止め栄養を蓄えていた茶の木が力を存分に使って芽吹いたものを摘み取り作られた新茶を飲めば長生きすると昔から考えられてきました。
そのころに新茶をいち早く味わう方もいらっしゃるでしょうし、
この御中元シーズンに贈ったり頂いたりすることも多いのではないでしょうか。



「お茶」といっても紅茶、中国茶、緑茶などとても多くの種類があります。
紅茶は発酵茶、烏龍茶は半発酵茶、プーアール茶は後発酵茶、そして日本茶と呼ばれる不発酵の日本で作られた緑茶など、加工の過程は様々ですが、これらに共通しているのはカメリアシメシスという学名をもつツバキ科の植物「茶の樹」から摘んだ芽や葉を加工したものであるということです。
茶の樹から作られたものではなくてもハーブティーや花茶、ルイボスティーや麦茶、黒豆茶、薬草茶なども今では「お茶」として親しまれているので、その意味合いは幅広いのです。それだけ日常におけるお茶の役割や需要が大きいのではないでしょうか。
お茶の中でも、日常生活で馴染み深い日本茶。しかしあらためて考えてみると知らないことも多のではないでしょうか。
ここではそんな日本茶のことをあらためて解説していきます。



◎玉露
収穫前約20日前後、茶畑全体をむしろや藁で覆い、太陽光を遮断して栽培された茶葉から作られます。光合成を抑制することで渋みのもととなるカテキンは抑えられ、旨み成分であるテアニンなどのアミノ酸が増すため、とろりと甘いコクのある味わいを楽しむことができます。更に「覆い香」とも呼ばれる香りが生まれるのもこの栽培法によるものです。
これらの特徴を存分に楽しむためにも40〜50℃の低温のお湯を少量(8gの茶葉に50ccくらいの湯)注いで2〜3分じっくり蒸らし、最後の一滴まで注ぎきること。
テアニンは脳をリラックスさせるという研究データもあります。
お茶の特性からものんびりリラックスしたい時に丁寧に淹れる一杯として、大変おすすめです。


◎煎茶
日本茶の生産量の約8割をしめるのがこの煎茶。皆さんのお手元にあるその頂き物の茶缶も、なにげなく淹れていた一杯のお茶も、煎茶の可能性が多いということになりますね。
製法や産地、品種によって風味に差はありますが、甘味と渋みのバランスのとれた爽やかな味わいが親しまれています。
私は、摘採シーズンの早い上質な新茶のときは湯温70℃くらいの低めの温度で、安価な煎茶はカテキンが抽出されやすい湯温80℃を目安にして淹れます。
煎茶の中でも製造過程で蒸しの時間を長くして作られる深蒸し煎茶は、茶葉が柔らかく成分が抽出されやすいので水色が濃く鮮やか。こちらは80℃くらいの熱めのお湯でさっと淹れます。いずれもそのときの気分に合わせて淹れ方を工夫することでより特徴を引き出し美味しくいただきます。


◎かぶせ茶
三重県の伊勢茶が有名なこちら、我が家でもしばしば登場するお茶です。
玉露が前記の通り栽培過程で畑全体を20日前後覆うのに対し、このかぶせ茶は少し短い一週間前後覆います。玉露ほど遮光はしないけれど煎茶ほど紫外線を浴びないことから、どちらの特徴も備えた中間的な性質を持っています。
低い温度のお湯を使えば玉露のようなまろやかさを、熱めのお湯を使えば煎茶のようなすっきりとした風味を楽しむことができる便利さが重宝しています。


◎抹茶
玉露の原料を収穫後に蒸し、揉まずに仕上げた「碾茶」の葉脈などを取り除いて、石臼で挽いて粉末状にしたものが抹茶です。
碾茶は近年アレルギー対策でも注目されていますし、抹茶は茶葉をまるごといただくのでお茶に含まれる旨みや成分、栄養素を余すことなく摂取することができます。
もしかしたら日本のスーパーフードかもしれないと私は思っています。
茶道のお作法を知らなきゃだめかしら、なんて難しいイメージのある抹茶ですが、薄茶なら身近です。私の場合はもっと簡略化。気に入ったタンブラーに柑橘系のシロップと抹茶、お湯、もしくは氷とお水を入れてシェイクして仕事先に持っていくことも。




こちらのすだちシロップで試したところ美味しくて気に入っています。
川添フルーツさん

◎茎茶
煎茶や玉露を作る過程で選別された「出物」という茶の一つです。
出物は、製造過程で出た粉状のお茶「粉茶」(機械で緑茶を粉砕した粉末緑茶と粉茶は別物です)、まだ葉にならない水分を多く含んだ柔らかく小さな芽の部分がちぎれたり小さく丸まってでてきた「芽茶」、そしてこの「茎茶」などがあります。
これらの茶葉は低価格ではありますがそれぞれに良い所を持っています。
高級な玉露の茎茶は「雁が音」と呼ばれ確固たる地位を築いていますし、茎はアミノ酸を多く含み甘味も香りもなかなかのものです。
雁が音は玉露同様、ぬるめのお湯で淹れると美味しくいただけます。
ちなみに私が生まれた石川県では茎茶ではなく棒茶と呼んでいました。今では加賀棒茶を福井で飲むこともできますが、小さな頃に福井に引っ越して来て初めて一人でお使いに行った時にスーパーで棒茶がみつからず、違う土地に来たんだなというさみしさもあったのか泣きながら帰った懐かしい思い出があります。
今ではすっかり福井の人ですが。


◎番茶
新芽を摘み取ったあと、日差しの強い夏がやってきます。強い太陽光のもとでは摘み取った後に伸びてきた芽は急速に成長します。その二番茶や三番茶、成長してやや硬くなった葉から作られたものが「晩茶」から転じて番茶と呼ばれます。地域によって位置づけが変わることも。
味は煎茶よりあっさり。
タンニンが多くやや渋みがありますが、健康成分カテキンも豊富という長所も持っています。


◎焙じ茶
煎茶や茎茶、番茶などを高い温度で焙煎したものです。
焙煎の過程でカフェインが壊れ、タンニンが飛ばされるため、苦味や渋みが減ります。そのため、胃腸への刺激が少なく胃腸の弱い方や赤ちゃんからお年寄りまで幅広くたっぷり飲むことができる利点があります。



他にも様々なお茶があります。
テレビ番組では緑茶の持つ成分がアレルギー対策やコレステロール軽減、安眠効果に役立つという切り口で最新の高機能品種茶が取り上げられ、専門店には碁石茶、べにふうき、さえみどり、ゆたかみどり、そうそう、と言った品種のお茶が並んでいるのを見かけるようになりました。
淹れたあとのお茶の葉をお風呂に入れることで肌荒れやニキビ対策にしたり、乾燥させたあと消臭や除湿、汚れ落としのため掃除に使うなど、飲んだあとの茶葉の使い道も豊富なことから日本茶は今後ますます注目を集めることと思います。
これはどの地域でどんなふうに栽培加工されているのか、どんな味わいがあるのかなど専門店で聞いて見て触れて、少量の茶葉から味見をしてみるのも楽しいものです。



先日、企業様からの御依頼をうけて
ご来場のお客様に焙じ茶を焙煎していただくワークショップをしました。
秋冬に開催することの多いワークショップですが、新茶をいただく機会が多いこの時期だからこそ日本茶をみなおしたり、通年美味しくお茶を楽しむきっかけになったと大変好評でした。
この会では炮烙(ほうろく)という胡麻や豆を炒る昔ながらの焼物の道具を使いましたが、
家では火加減を調整しながら厚手のフライパンを使って作ることもできます。



このおもてなしのテーブルセッティングでは、いくつか心がけたことがあります。
まず、テーマやコンセプトに基づいたストーリーはできるだけシンプルで分かりやすくすること。
ここでは瑞々しい緑のフラワーアレンジと季節の花、紫陽花をモチーフにした和菓子を中心に、日本茶の香りと、香りのない花とをミックスすることで梅雨時期の鬱々とした空気を払拭し、五感で場の雰囲気を楽しむことをストーリーとしました。
※会場のお花は良心的な価格と抜群のセンスで信頼をおいているIRIS(イーリス)の定政さんに、紫陽花の和菓子は花堂、竹内菓子舗さんにお願いして作っていただきました。








※お客様へのお土産の品は、
装飾師として全国有数の料亭などに伝統美を届ける錦織ほまれさんのブランド「日和」が提案する、越前和紙のフレグランスフラワー「hiyori no hana」











そして、見ず知らずのお客様が一堂に会す場であることから、お膳やお敷を使って快適なパーソナルスペースを確保しつつ、テーブル中央のパブリックスペースに着物の帯を直線的に配置し、皆さんが手を伸ばす共有のお菓子を並べることで、落ち着いた気持ちで参加者同士の交流が深まるよう配慮しました。
家ではランチョンマットやトレーを効果的に使えば再現できます。
お客様がわくわくした気持ちになる視覚効果、ビジュアルアクセントも大切。
お皿や器を重ねて高低差をつけディスプレイしたり、和のしつらえの場合は四角や長方形、台形などの直線的な形の道具をベースに多く使ったり、配置そのものを直線的に並べてみるとばらつきがちな空間をまとめることができ、且つ折り目正しさや上質さ上品さを表現することができ、効果的です。
これらのポイントは実現しやすい基本的なテクニックなので皆さんもまず手持ちの食器やカトラリーをつかって御自宅のテーブルで試してみてください。

道廣 喜子Kiko Michihiro
「GOKAN」担当

<Salon LAKSHMI(サロン ラクシュミー)代表/料理家・美容家>
公的機関の医療者として精神科とNST分野に携わりながら、インファント(乳幼児)マッサージや世界各国の美容技術、アロマテラピー、美容食学、薬膳インストラクターといった美容と食にまつわる国際ライセンスを多数取得。
様々な知識を軸にサロン・スクールを立ち上げ独立する。
『生まれてから死を迎えるまで、医・美・食の調和がとれたサービスと知識の提供』をコンセプトに 広い世代に向けた香育・食育・触育の講演活動、専門学校にて解剖生理学・栄養学講師をつとめる。飲食店やイベントにおけるフードスタイリングやディレクション、空間デザインをてがけるほか、メディアにてレシピ提供やコラムの執筆もおこなう。
不定期開催されるワークショップは即時満席となる人気の企画となっている

[公式ブログ] http://ameblo.jp/lakshmi-aroma/?frm_id=v.jpameblo
[ホームページ] https://www.facebook.com/pages/Salon-Lakshmi/544086015710084?__mref=message_bubble

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